幼児教育・保育料無償化─本当にいいことばかり?未満児の母が思うこと

いよいよ2019年10月から、幼児教育・保育料の無償化が開始されます。子育て世帯にとって、これらが無償化されることは、家計の負担が減るので喜ばしいことに思えますよね。しかしこの政策は、手放しで喜べる、いいことづくめのものなのでしょうか?

筆者は未満児の母なので無償化の恩恵を受けるまでには時間があり、少し冷静な気持ちで今回の政策を受け止めています。ここでは無償化について、筆者が感じる良いところ・悪いところをまとめてみます。

幼児教育・保育料の無償化とは

筆者の住む市では、9月から2020年度の新入園児募集が開始されます。それに伴い、幼児教育・保育料無償化の案内も広報に出ていました。しかし、情報はわずか半ページのみで、詳細はお問い合わせ下さい、との案内でした。筆者も以前問い合わせをしましたが、その時はまだ何も決まっていませんでした。

担当者の方によれば、2019年10月から開始ということは決まっているのに、詳細事項は何も決まっておらず、施設を利用する保護者から問い合わせがあっても案内が出来ず困っているとのことでした。なんだか政策が独り歩きしている印象で、本当に10月から実施できるの?大丈夫?と感じたことを覚えています。

実際この政策は、本来の施行時期よりも前倒しで開始されるそうなので、その点は否めません。では、なぜ施行時期が前倒しされたのでしょうか?それには、消費税増税の影響があるようです。

財源は消費税

幼児教育・保育料無償化の財源は、消費税です。10月から消費税は10%に増税されますよね。増税するから保育料タダにするね~なんて、なんとな~く、だまされてる感がありませんか?

食費は8%据え置きですが、子供に必要なオムツなどの消耗品は10%に増税です。また対象の子供がいない世帯には、なんの恩恵もなくただの増税です。『子供は社会の宝だ』というけれど、増税分が幼児教育・保育料の無償化の財源として使われるなんて、なんだか面白くない…。そんな不公平感を感じる方も多いのではないでしょうか?

無償化の対象は、3歳~小学校入学前までの子供

ここで、無償化の対象となる子供の条件を確認してみましょう。

  • 0~2歳児の未満児は対象外
  • (幼稚園の場合)3歳から無償化の対象
  • (保育園の場合)3歳になったあとの4/1から、つまり年少クラスから無償化の対象

同じ4月生まれでも、幼稚園に通う子供はそこから無償、保育園だと1年待たなければ無償にはなりません、ということです。ものすごく不公平ですよね。幼稚園という『教育』に重きをおいた施設を利用する保護者が優遇されている気がするのは、筆者だけでしょうか?

この政策が、『幼児教育』を受ける機会の均等性を謳っているものだからでしょうか?子供を保育園に入れている保護者からは不満の声があがりそうです。

利用料補助は、認可園上限なし、認可外施設・幼稚園は上限あり

保育料は、すでに世帯の収入に応じた段階的な料金設定となっており、所得の多い世帯ほど高額、逆に少ない世帯ほど低額です。これは平等ではないかもしれませんが、理にかなっていると思うのです。

しかしながら、今回の無償化によって、保育料を多く払っていた世帯ほど負担軽減となり、もともと安い保育料だった世帯にとっては、思ったほどの負担軽減にはならず、貧困対策としての観点もイマイチずれているような気がします。認可外施設・幼稚園の利用料に補助上限があるのならば、保育料の補助にも上限をつけないとまずいんじゃないの~?と筆者は思うのです。

無償化のメリット・デメリット・問題点

預けなきゃ損?

無償化されたら預けなきゃ損!・・・子育てにあまり向いていない、さらに貧乏性の筆者は、ついそう思ってしまいました。そして、そう思うのは筆者だけではないはず!(と思いたい。)

筆者は現在、認可外保育園に娘を通わせていますが、今回の無償化政策の中の、認可外施設についての補助内容が決定する前までは、なんとしてでも3歳までには認可園に入れたい!と必死でした。利用料の補助上限が認可園にはなく、認可外施設にはあることなどから、せっかく良い保育・教育を提供しようと頑張っている認可外施設があっても、認可外離れが進むことは否めません。

さらには園児を集められず、経営難から閉園の危機に直面してしまう恐れもあるかもしれません。となると、待機児童の受け皿も減ってしまうという悪循環になりそうですね。

待機児童が増える?

認可園に入りたい子供が増えたら、結局のところ、受け皿不足で待機児童も増えます。子供たちの受け皿である保育園を整備することも、無償化の前にやるべきことだったのではないでしょうか?

幼稚園が定員割れして、一方、保育園は定員オーバーで入れないという背景を受けて、こども園への移行が進んではいますが、実際に未満児を預かってくれるこども園はまだまだ少なく、現在は過渡期と言えます。特に幼稚園が母体だったこども園は、何年か時間をかけて、未満児の扱いに慣れてから本格的に始動するようなのです。

夏休みなどの長期休みにも対応できていない施設もあるようですし、受け皿が広がるまでにはまだまだ時間がかかりそうです。

保育園と保育士さんが不足する?

子供を預けたい保護者が増えれば、受け皿となる保育施設も整備しなければならなりません。そして、そこでもさらなる保育士不足が懸念されるでしょう。

保育士さんは、子供の命を預かる責任の重い仕事です。筆者の娘の保育園にはウェブカメラがあり、保護者は園内の様子を見ることができます。時々筆者も覗いていますが、保育士さんたちは子供たちのお昼寝中でも休むことなく仕事をこなし、睡眠中の子供たちの状態もマメにチェックしてくれています。そんな大変な仕事である保育士さんの仕事量がさらに増えるのは、保育中の事故を防ぎ、子供たちの命を守るという観点から言っても、よろしくないでしょう。

無償化のための財源は、まず保育士さんの育成や確保、保育士さんの給与アップのために使ってほしかった、と思います。

働いていないお母さんたちが、子供を預けづらくなる?

筆者のいとこは4人の母です。子供たちが成長するにつれ、それぞれの学校行事や習い事等も増え、下の子を連れて動くには限界があるそうです。それにたまには気分転換もしないと、いくら子供好きでも軽いノイローゼになってしまう、と言ってしました。

そんな時、彼女は一時保育を利用しています。しかし10月の無償化開始に伴い、働いていないお母さんは保育施設の利用がしにくくなるみたいなの、と心配していました。やはり受け皿不足の問題なのでしょうか?


……ここまで書いてみて、あれ?ネガティブ要素ばかり?と気づいてしまいました。
良い点は、やはり家計の負担が減ること。あとは、子供が保育園に行って、お母さんも仕事に行くようになると、家庭でエアコンとか使わないで済むから、クールシェアとかにもなること・・・?

筆者の思うこと

筆者は保活激戦に敗れ、保育園全落ちしました。現在は認可外施設に娘を通わせています。この経験がなければ、今回の無償化について深く考えることもなく、保育料タダ!ラッキー!と思っていただけかもしれません。

保育料無償化。家計は助かるし、嬉しいけど、なにかが違う気がする・・・とモヤモヤしています。家庭で子供をみることが出来ない時間、保育士さんというプロに『保育』をお願いするのだから、その対価は支払うのが当然かな、と考えるからです。保育士さんって、本当に大変なお仕事です。筆者なら半日もたずにギブアップするレベルです。

平等に支援してほしい

幼児期の教育を大切に考える保護者が、幼稚園教諭に『教育』をお願いするために幼稚園に通わせる。これが幼児教育ですよね。教育のレベルや種類も多種多様ですし、保護者が望んでそうしているのだから、それに応じた対価は支払うべきだと思うのです。

筆者は、保育料も幼児教育料も子供への投資だと考えています。「自分の子供への投資を、親が負担せずにどうする!?」というのがモヤモヤの正体なのかもしれません。

日本の幼児施設は、幼稚園・保育園に分かれていて、その違いと特性から、子供を通わせる場所を決めています。しかし、幼稚園に入れたくても、仕事の関係で保育園しか通わせられない保護者もいるし、働きたいけど保育園に入れず、幼稚園に通わせている保護者もいることでしょう。

つまりは、どこに通わせようが子供は子供、みんな同じなのだから支援は平等に!と切に願うのです。

義務教育を無償化するほうが良いのでは……?

余談になりますが、筆者はむしろ、義務教育である小学校・中学校でかかる費用が無償化される方が、教育を受ける機会の均等性という意味では、多くの方の理解を得やすいのではないかと思います。

授業料がかからなくても、毎月の給食費や集金、体操服・上靴・おそろいの学用品代・・・毎月毎月、結構バカにならないのです(しかも、その時だけしか、ちょっとしか使わないような学用品も多い)。そういうものを学校の備品として整備し、子供たちに貸し出すようにするといった方法をとることも一案ではないかと思います。子供たちの、物を大切にする心を育むことにもつながるのではないでしょうか。

知ろうとすればするほど分かりにくく、不公平感が増していくこの政策。嬉しいけど、もろ手をあげて喜べないな、複雑・・・というのが筆者の実感です 。